<   2015年 11月 ( 1 )   > この月の画像一覧

国産生糸のことで、おもうこと

おおきに、おこしやす。 のほほん金糸屋です。

のほほん金糸屋は金銀糸が専門で、とりわけ刺繍の職人の皆様がたにはお世話になっておりますねん。
そういったことからいろいろなご要望に応じて、日本刺繍に使う素材や道具、刺繍針や刺繍台なども取り扱うようになりました。

その中でも絹平糸(釜糸)も、取り扱いさせていただくことになってずいぶん年月が経ちます。
d0176048_13454745.jpg


素材として使わせていただいているのは、希少な国産生糸。
昨年「富岡製糸場と絹産業遺産群」として世界遺産に登録されたり、今年はNHK大河ドラマでも取り上げられたり、「群馬の生糸」は世界中から注目を受けている中ですね。
のほほん金糸屋もわずかながら、京都の原糸問屋様を通じて「碓氷製糸農業組合」様のものを仕入れさせていただいております。
問屋様にお伺いすると、やはり「だんだん手に入りにくくなってきた」品物のようです。
d0176048_14101893.jpg


しかしながらこの国産生糸、産業としての現状はきびしく、希少にならざるを得ない様々な苦しい事情も現実としてあるようです。
シルクの国内供給のうち、99.5%までが中国産やブラジル産等の輸入生糸でまかなわれているそうで、
つまり国産生糸のシェアは0.5%ということ。
品質面はもとより、価格面での競争にさらされて国内の製糸産業、養蚕産業はどんどん衰退していった現実があるようです。
それでも群馬県や山形県、長野県など各地で、生糸作り、製糸産業、養蚕業を残していく取り組みをされています。

ほんで・・・
のほほん金糸屋として思うこと・・・

コストの事やったり、品質の事やったり、商売としてはいろんな選択肢はあると思うけど、
うちのお店としてはやっぱり国産の生糸をでき得る限り使わせていただいています。

理由は直接刺繍をされる職人である当店のお客様が、「国産生糸の品質」を高く評価されていらっしゃることです。

ものを作るのに「こだわり」って、やっぱり大切やと思いますねん。
でも「こだわり」っていう言葉、よく使ったり聞いたりしますけど、つまるところどうゆう事ねんやろ?

のほほん金糸屋は「こだわり」=「価値観」じゃないかなって思っています。
でも「価値観」という言葉もまた、人の見方によって本当に多種多様ですよね。

価格であったり、機能であったり、利便性であったり、デザインであったり・・・
目に見えやすい定量的定性的な「価値観」
あるいは地域とか、歴史とか、文化とか、人の思いとか・・・
目に見えにくい重層的な「価値観」

実はそういった「見えにくい価値観」こそが、つくりあげた「もの」にも宿るんじゃないかな?
「見えにくい価値観」を大切にすることこそが「こだわり」なんじゃないかな?。
のほほん金糸屋は「伝統工芸」とか「伝統文化」といわれるような業界に身をおいていると、そう思う機会がちょくちょくあります。
でもそういう「見えにくい価値観」って、お伝えすることは実は相当難しい。
それは多分に情緒的な部分による価値観で、定性的定量的に計ることはできないから。

「文化的財産」として維持していく事と、「産業工業」としてビジネスを成り立たせていく事。
そして「見えにくい価値観」をお伝えしていくこと。

国産生糸も京都の金銀糸も、いわゆる「伝統工芸」と呼ばれる産業分野に従事している皆様も、抱えている課題はこういったことなのかもしれませんね。
ほんまに難しいテーマですが、、のほほん金糸屋もそういった「価値観」をお伝えする努力を怠ってはいけないと思っています。

創業明治三十年 京都 金銀糸
株式会社 寺島保太良商店
web http://www.terayasu.com
Blog http://terayasu.exblog.jp/
Twitter http://twitter.com/terayasukinnshi
Facebook https://www.facebook.com/kyoto.kinginshi.terayasu
[PR]
by tera-yasu | 2015-11-19 15:34 | 刺繍 | Comments(0)