<   2016年 02月 ( 1 )   > この月の画像一覧

ほんきんし と まがいきんし

おおきに、おこしやす。 のほほん金糸屋です。

今日は東京から文化財を研究されている国立の施設の方がお越しになりました。
調査研究ということでいろいろとお話したりご覧いただいたりして、のほほん金糸屋なりに金銀糸のことを一生懸命お伝えしていました。
金銀糸に興味を持っていただいてとても和やかに楽しい時間が流れ、のほほん金糸屋もお役に立てたようなので少しうれしい気持ちになったのです。

が、お帰りになってから今日のお話のことを振り返りながら、ふと考えていました。
「文化財かぁ・・・」

研究施設の方との話題の中で上がった「本金糸」と「紛い(まがい)金糸」のこと。
いとへんに分けると書いて「まがい」と読みますが、純金箔以外の素材を用いて制作した金糸を、当店のみならず金銀糸業界では「紛い金糸」と表記してお客様に提供しています。
「まがいもの」の紛い。
すなわち、「この商品はイミテーションですよ」としっかりとお客様にお伝えしてお渡しすることが、我々の業界の商習慣なのかな?とも思います。

ほんで、つまるところ、ほんきんし と まがいきんし ってなにがちがうのん?

本金糸
d0176048_188438.jpg

ソフト紛い金糸(ポリエステルフィルム純銀蒸着金糸)
d0176048_1885987.jpg

純金箔と純銀蒸着フィルムということで素材が違いますし、作り方も職人さんの手作業と工業的機械生産ということで大きな違いがあります。
結果、価格が違います。 本金糸は紛い金糸のざっと10倍以上のお値段です。

ところで見た目で違いが判りますか?
実際のところ紛い金糸って、本当に良くできているんです。

では、もう少し踏み込んだところで本金糸と紛い金糸って何が違うんだろう?
非常にざっくりとした表現ですが、

紛い金糸は使い勝手が良くて、洗濯や摩擦などの堅牢度もある程度あって、汎用性が高い。
本金糸は使い勝手が気難しくて、堅牢度はあまり期待できなくて、使用用途に悩む。

そうなると当然、世間で目にする金銀糸を用いた品物のほとんどは「紛い金糸」で作られたものとなります。
結果、本金糸のものづくりは苦境を迎えることとなっています。
残念なことですが、そらそうですわな・・・

では「本金糸」はもはや無用の長物になってしまったのか・・・
実はそんなことはなく、大切に扱われた本金糸は何百年でもその輝きを保ち続けます。
紛い金糸は純銀や染料塗料を素材としている以上、10年を超えて輝きを保ち続けることは実は難しいのです。

従来からのお客様はもとより、新しく金銀糸をご覧になったお客様も「本金糸のほうが美しい」との声をよく頂戴します。
性能や機能とは別のところで「本物の価値」というものは存在しているようです。
「希少性が高い」「輝きが長持ちする」といった事柄よりも深いところに存在している価値。
歴史性や物語性、地域や人の思いが積み重なった重層的な価値。
でもその「価値の具現化」には、正直悩み続けています。

現在、本金糸の活躍の場は日本各地域の文化的財産の新調修復と、和装関連の高級品といったところに限られています。
「本金糸がなくなったら困る!!」というお声を頂戴する以上、「本金糸」の輝きを絶やすことは許されないのかもわかりません。
それはとりもなおさず、苦しい状況に置かれている本金糸の作り手の皆さんの仕事と生活を守っていくことに他ならないのだろうと思います。

そのためには、のほほん金糸屋は「やっぱりほんものっていいよね^^」っていう「本物の価値」を、もっと具現化してお伝えしていく努力をしていきたいなと思います。
必勝法は無いかもしれません。
使命感とか危機感とか重圧(プレッシャー)とかもありますが、でもいろいろな方面で活躍されている皆さんと知り合いながら、知恵をいただきながら、協力していきながら本金糸の輝きを保っていこうと思います。

創業明治三十年 京都 金銀糸
株式会社 寺島保太良商店
web http://www.terayasu.com
Blog http://terayasu.exblog.jp/
Twitter http://twitter.com/terayasukinnshi
Facebook https://www.facebook.com/kyoto.kinginshi.terayasu
[PR]
by tera-yasu | 2016-02-03 19:32 | 金銀糸 | Comments(0)